安芸の国から

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旧帝国海軍:大浦突撃隊大迫支隊跡(Q基地跡)

7月26日、倉橋島の大迫にある大浦突撃隊大迫支隊跡、いわゆるQ基地跡を訪れました。ここをはじめて訪れたのは2008年11月なのですが、それ以来でしょうか。とてもキレイで静かな海は、太平洋戦争末期ここに特別攻撃隊の基地があったという歴史を感じさせません。

大迫のQ基地跡に残る桟橋跡 1

Q基地について

2008年11月に訪れたときのことは「旧帝国海軍:特殊潜航艇甲標的の基地、倉橋島」で記しましたが、そのときは甲標的を主眼に記しました。今回はQ基地について記したいと思います。海岸そばに「特殊潜航艇基地 大浦突撃隊大迫支隊跡」の碑があります。

特潜会による大浦突撃隊大迫支隊跡碑

建碑の由来が記されています。

特潜会による大浦突撃隊大迫支隊跡碑 碑文

建碑由来

大東亜戦争方に酣に敵の反攻頓に熾烈を加ふる昭和十九年四月 海軍は此處に機密訓練基地を設け 対岸大浦崎の特殊潜航艇P基地に呼應してQ基地と称す 同年七月第一特別基地隊の編成なるやその麾下に入り 二十年三月大浦突撃隊大迫支隊と改称 決死報国の将兵二千を聚む 處は是碧河清冽の地 隊員維悉殉忠の士 朔風炎熱を冒し 敵必滅の戦技を練り 勇躍出撃せる若桜又少からず 然るに同年八月忽として終戦の詔を拝し 整然隊を解く 爾来三十余星霜 茲に往時を追懐し銘碑を刻して後昆に傳ふ

佐野大和撰並書

Q基地は昭和19年4月に特型内火艇(言ってみれば水陸両用車)の訓練基地として開設されました。特型内火艇のひとつ「特四式内火艇」では次のような作戦が検討されました。マーシャル諸島の米艦隊を攻撃するという竜巻作戦です。特四式内火艇を潜水艦にのせて接近し、岩礁の外で特四式内火艇が発進。岩礁を越えた特四式内火艇が魚雷攻撃を行なうというもの。

しかし特四式内火艇はうるさい(訓練が行なわれていた情島からP基地までその音が聞こえていたらしい)、遅い(水上で4ノット程度)、キャタピラが破損しやすいというシロモノ。また、潜水艦から発進するためにも時間を要し(20分程度)、米軍の優秀なレーダーに見つかる危険が大きいために潜水艦隊側の板倉光馬艦長が反対。

潜水艦隊側の反対は軍令部はもちろん特攻隊員も激怒させます。その結果、柱島泊地で実験訓練が行なわれました。前述の板倉光馬艦長によるとその轟音は「戦車がほえている」「いくら寝坊助の米兵といえども、目を覚まさずにはいられない」、陸上に上がってからの猛進ぶりは「まるで、ひきがえるの王様が這ってゆくように」といったもの。結果、軍令部は兵器の改善を待って、訓練をやりなおすということになりました。しかし、その後竜巻作戦は実施されることはありませんでした。

下は唯一の遺構といってもいい桟橋跡。3つの桟橋があったようですが、このひとつぐらいしか見つけることができません。今回訪れたときは潮が引いていたのでその大部分を見ることができました(2008年のときは上のちょっとだけしか見ることができなかった)。なお、この桟橋跡は「特四式内火艇」の装気桟橋と書かれている本もあります。

大迫のQ基地跡に残る桟橋跡 2

この大迫Q基地での特型内火艇の訓練がなくなった後にやってきたのが特殊潜航艇「蛟竜」の講習員たち。大浦崎のP基地で訓練を行なう者たちです。P基地だけでは手狭になり、この大迫Q基地が講習員たちの宿舎として使われるようになりました。

昭和20年3月からの大浦突撃隊戦時日誌を見ると、搭乗訓練だけでなく沖縄方面に出撃といったものも見られます(たとえば3月3日)。また、空襲警報も頻繁に発生しており、大変な環境だったことがうかがえます。別資料によるとQ基地には6つの兵舎がありました(終戦後の引渡し時)。訓練を終わりこの兵舎に戻って講習員たちはどういった気持ちになっていたのでしょうか。

大迫のQ基地跡から大浦崎のP基地方面を望む

講習員は、機動艇に乗りこのQ基地から対岸の大浦崎P基地まで情島と小情島のあいだを通って講習に通っていたそうです。情島は特型内火艇の訓練が終わったあと、特攻兵器(兵器といえるのか... という点はさておき)伏龍の潜水訓練が行なわれていました。その碑があり訪れてみたいのですが、陸からはたどり着けそうにない...

最後にQ基地の場所を。35号を使って桂浜経由で訪れるほうがよいと思います。気になった方、一度訪れてみてはいかがでしょうか?


より大きな地図で 大浦突撃隊大迫支隊跡碑(Q基地跡地) を表示

参考にした書籍など

このページの公開日:2014.08.05

コンテンツメモ

  • 訪問日:2014.07.26
  • 場所:広島県呉市
  • 行程:広島高速 - 国道31号-国道487号...
  • X-M1 + XC 16-50mm F3.5-5.6 OIS

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