海上自衛隊:アレイからすこじまの潜水艦「そうりゅう」
2009年5月4日にアレイからすこじまに出かけました。目的は呉の第1潜水隊群に配備された最新鋭潜水艦「そうりゅう」をみるため。「そうりゅう」はそうりゅう型潜水艦の一番艦です。平成16年度予算で建造されるので16SS、排水量から2,900トン型潜水艦と呼ばれることもありました。
そうりゅう型潜水艦「そうりゅう」SS-501
数日前に「そうりゅう」がアレイからすこじまにいることはネットで確認していたとはいえ「出かけたのにいなかったらどうしよう?」と思っていたのですが、無事(?)に見ることができました。下画像の一番奥(右)の潜水艦が「そうりゅう」です。
また、就役して間もないからでしょう、まだ艦番号(501)・艦名(そうりゅう)とも消されることなく残っています。これから消されることになるので、見ることができて運がよかったです(^-^)。もっと寄ってみた画像がこの下のもの。300mm(KissDNでは460mm)でもこれが精一杯です(+_+)。。。
艦番号の501は潜水艦に付与される最初の番号です。初代「くろしお」につけられていた番号ですが、この「そうりゅう」で再び501に戻ってきました。また、海上自衛隊潜水艦の命名基準がこの16SSの進水にあわせて改正され瑞祥動物(龍や鳳凰など吉兆を示す動物)が加わっています。そして命名された名前が「そうりゅう」・・・ 旧海軍の空母「蒼龍」と同じ名を与えられた事実に、このそうりゅう型潜水艦への期待の大きさが想像できます。
さて、このそうりゅう型潜水艦は海上自衛隊のこれまでの潜水艦から大きく変わった点がいくつかあります。いくつかをあげてみると
- スターリング機関を採用したAIP(大気非依存型推進)潜水艦
- 横舵と縦舵を統合したX舵を採用
- 主電動機は直流式から交流式になり永久磁石電動機に
- 指揮管制支援ターミナルを装備しC4I(Command, Control, Communications, Computers and Intelligense)能力が強化
- 潜望鏡のひとつは船殻非貫通型を搭載
- 蓄電池を鉛蓄電池からリチウムイオン蓄電池へ(20年度計画の5番艦より)
といったところでしょうか。中でもAIP潜水艦となることでこれまでよりも浮上することなく水中を航行できる距離は大幅に伸びるため、潜水艦としての価値はこれまでのどの潜水艦よりも高くなっているといえます。そういったことが大きな期待として現れているのだろうということは想像に難しくありません。
見た目に大きく異なっているのがX舵の採用。X舵にすることで水中運動性能が向上、また海底への鎮座時などに舵を損傷するリスクが少なくなるということです。見た目に大きく異なっていると書きましたが、興味のない人にはぜんぜんわからないと思いますので、下に比較画像を載せてみます。
青く囲んだところを見比べてみると、手前(左側)の潜水艦は水面上にでている舵が垂直になっており、奥(右側)のそうりゅうは舵が斜めになっているのがわかるのではないかと思います。通常、潜水艦の船尾舵は十字(+)型につけられているのですが、そうりゅうではX(X)型となりました。潜水艦というと、「見た目どれもかわらないからおもしろくない」と感じるかもしれませんが、こういった違いがわかるようになるとと興味を持つこともできるのではないかと(^^;。
最後の画像は艦名「そうりゅう」の文字をアップで。最初に書いたように艦番号とともに艦名も近いうちに消されることでしょうから、もう撮ることもできないだろうなぁ~。
そうりゅう型潜水艦は2番艦(名前は「うんりゅう」)が昨年10月に進水、3、4番艦が建造中となっています。5番艦は平成20年度計画で予算承認済となっているので、現在は5番艦も建造中なのかも? まわりには一筋縄ではいかない物騒な国が多い(苦笑)日本なので、決して目立つことはない潜水艦ですが、その存在自体が意識されるような兵力になってくれることを願います。
参考にした書籍
- 海上自衛隊潜水艦史 / 世界の艦船2006.10増刊 (海人社)
- 海上自衛隊 2008-2009 / 世界の艦船2008.7増刊 (海人社)
このページの公開日:2009.05.07