安芸の国から

安芸の国に暮らすおじさんのお出かけ記録です

大和ミュージアム:企画展「制服にみる海軍の歴史」

GWがはじまった4月29日、久しぶりに大和ミュージアムに出かけました。目的は第17回企画展「制服にみる海軍の歴史 ─明治から昭和へ80年の流れ─」を観ること。GWということで人出の多さが気になりましたが大和ミュージアム隣の市営駐車場も待つこともなく。震災が影響しているのでしょうか。

制服にみる海軍の歴史 中から入口をみる

海軍の制服

考えてみれば当たり前なのですが、制服にもちゃんと「服制」という制度があったそうです。海軍の制服には数種類あり「正装」「第一種軍装」「第二種軍装」「事業服」「作業服」「軍帽」「略帽 第一・第二」をTPOで着分けていたとのこと。

正装

制服にみる海軍の歴史 正装全体
制服にみる海軍の歴史 正装

正装は天皇に拝謁するときや皇室に関わる行事のときに着用することになっていました。あわせて自分の家の冠婚葬祭でも着用が許されていたとのこと。

第一種・二種軍装

制服にみる海軍の歴史 第一種・二種軍装全体
制服にみる海軍の歴史 第一種・二種軍装

軍装は紺色が第一種(夏以外)、白色が第二種(夏用)です。一番左の第二種軍装は予備士官(中尉)、真ん中の第一種軍装は特務士官(中尉)、右の第一種軍装が水兵のものと記されていました。

第二種軍装で最初に思い浮かぶのはラバウル基地を視察していた山本五十六長官が敬礼をしている写真。山本五十六長官のやってきたことに関しては賛否ありますが、当時の大艦巨砲主義に一石を投じた意味は大きい。ただ、どうやってもアメリカに勝って戦争を終わらせることはもちろん、有利な条件で講和を結ぶこともできなかったと思いますが。

第三種軍装

制服にみる海軍の歴史 第三種軍装全体
制服にみる海軍の歴史 第三種軍装

この第三種軍装は太平洋戦争時に定められたものだそうです。説明によると昭和18年11月にこの褐青色の略装が定められて翌年昭和19年8月に「臨時海軍第三種軍装令」として略装から格上げされて前述の第一種および第二種軍装の代わりに着用する命令がでたとのこと。

左が二等主計軍曹、右が少尉のもの。このあたりになると、後述する褐青色になった防暑服や海軍陸戦隊のものと差がわかりません(汗)。でも、海軍士官のイメージは前述の第一種・第二種軍装ですが、これまでに読んだ書籍に載っている写真を思い出すと、この第三種軍装の姿が多いことに気が付きます。

外套・マント・雨衣

制服にみる海軍の歴史 外套・マント・雨衣

雨衣にも「第一種」と「第二種」があったそうです(驚)。前者が袖付きのレインコートで後者がマント型のもの。マントを着た士官・・・ 映画やTVなどでよく見かける姿ではないでしょうか?

事業服

制服にみる海軍の歴史 事業服

一般でいうところの作業服です。左の茶褐色の作業服が准士官以上、右の生成色のものが下士官が着用していたものだそうです。飾られている事業服後ろに艦の甲板でしょうか、作業服を着た下士官の方々が写っています。下士官の姿といって思い浮かべるのはこの姿です。着ていたのは作業服だったんだなと。

生徒・候補生・予備学生

制服にみる海軍の歴史 生徒・候補生・予備学生

手前のものは生徒の第二種軍装(昭和20初夏に白の夏服を回収され染色してから支給)や飛行予科練習生の第一種軍装なのですが、これらは短ランなのですね。説明によると、昭和9年改正でかわったそうです。奥に少し見える(右から2番目)予備学生の第一種軍装は士官と同じ長さとなっています。

これまでに読んでいる書籍が偏っているせいでしょうが、予備学生というと回天や特攻と連想してしまいます。職業軍人が戦争を行ない、場合によって亡くなってしまうのはある程度仕方がないと思いますが、そうでない者たちは・・・

特殊被服

制服にみる海軍の歴史 特殊被服

陸戦隊被服や写真にあるような航空被服、防暑服が「特殊被服」にあたります。左が准士官以上の防暑服ですが、もともとは白色だったそうです。それが戦局の体制で不適とされて昭和18年12月に「褐青色」に改められたとのこと。

「太平洋戦争時の陸軍の軍装は?」と聞かれて私がイメージする軍装と海軍の第三種軍装。とても似ている感じがします。ただ色が少し違うようです。陸軍のそれは「国防色」というらしい。カラーコードは16進表記で#7b6c3e。一方「褐青色」のカラーコードは・・・ 見つけられませんでした。

「日本海軍軍装図鑑」の原画

制服にみる海軍の歴史 部屋隅から

この企画展では多くのイラストも展示されていました。これは「日本海軍軍装図鑑」の著者柳生悦子さんから寄贈された図鑑掲載の原画だそうです。その中で私が気になったのはやはり下記のもの。

制服にみる海軍の歴史 回天関係のイラスト

回天に関連するものです。左が「昭和20年「回天」搭乗員の訓練服装」、右が「昭和20年「回天」整備作業服の少尉(左)と防暑服の少尉(右)」です。訓練時に使っていたのは航空服の改良型だそうです。

また右の整備作業服の服装は服装例・規則に記述がないとのこと。こういったところも回天基地が独特なところだった一面がでているのかもしれません。

さて、こうやって興味深い時間を過ごすことができた企画展。各展示物には説明があり、詳しくない私でもとてもたのしむことができました。ナカナカ見る機会はないと思います。興味のある方は出かけてみてはいかがでしょう?

もうひとつ最後に。私がちょうど出かけた29日に大和ミュージアムのホームページに「企画展特別資料の公開」のアナウンスが。公開されるのは黒木博司大尉(最終階級少佐)が海軍機関学校生徒時代に着ていた夏衣(驚)。もう1回出かけようかな(爆)。

このページの公開日:2011.05.02

コンテンツメモ

  • 訪問日:2011.04.29
  • 場所:広島県呉市
  • 行程:国道2号 - 国道31号
  • EOS 7D + EF-S 10-22 F3.5-4.5 IS USM

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